“BY THE PEOPLE , OF THE PEOPLE , FOR THE PEOPLE.” を研究する
 
谷口文朗(帝京科学大学名誉教授) 研究室の場所 〒409-0114 山梨県上野原市鶴島2375-1 TEL 090-1803-6707 メール

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上野原田園都市地域のQuality of Life 向上のための2件の野外調査と2件の構改革特区の提案
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添付資料−2

上野原市における大学と地域の共同による地域活性化のための  

   JR上野原駅南口 区画整理共同施行組合事業に関する構造改革特区申請 補足説明

山梨産業情報交流ネットワーク 構造改革特区・地域再生研究会

帝京科学大学教授 谷口 文朗




1.問題意識と課題

帝京科学大学は、1990年4月に、道が狭く、坂が多く、平坦地が僅少という河岸段丘特有の生活に不便な地勢の上野原町(現上野原市・市役所所在地は国土地理院2万5000分の1によると標高260メートル)に創設された。

創設以来16年、大学は地域との交流を重ね、

@     2000年9月には街の目抜き通り商店街(標高255〜264メートル)を貫通する国道20号線を四六時中往来するトラック・ダンプカー・タンクローリーなど通行車輌の交通実態調査を、

A     2003年9月にはJR上野原駅(線路の標高185メートル)の乗降客利用実態調査を行い、

調査の結果とそれに基づく総合交通体系構想を地域活性化策として上野原町役場に提供した。

この総合交通体系の構想は、

@     大月から上野原に入る国道20号を桂川沿いに誘導し、川沿いにトンネルを掘って藤野に繋げる、

A     JR上野原駅南口を東京駅南口に見立てて、(諏訪地区と新田地区を結ぶ)約250メートルの未拡幅の市道の拡幅後に完成する環状バス道路をJR山手線に、周辺から上野原中心市街に入ってくる6本の放射状バス道路をJR東海道線・中央線などに見立てて、上野原地域の交通を総合的かつ抜本的に改善させる

ものである。@が実行されると大月方面からの車輌が排気ガスを噴出して国道20号の標高差80メートル近いの坂(市役所所在地の勾配6%)を上り、街の中心を通り抜けて藤野に向かって国道20号の坂を下るという排気ガス汚染が解消し、生活環境が改善する(逆方向についても同じである)。Aによって交通事情が抜本的に改善され、地域が活性化する。

大学創設以来今日までの16年間、街の交通の流れは小動脈レベルでは着実に改善しているが街全体を対象とした動脈レベルの交通の流れは改善の兆しを見せていない。その根本的な原因は、1971年に着手されたJR上野原駅南口の土地12817坪を対象とした土地改良事業が事業参加者全員の賛成が得られずに頓挫し、事態解決の目途が立っていないことにある。

 

2.JR上野原駅を巡る交通の現状

上野原市に居住し、あるいは上野原市に勤務先を持つ人々のJR上野原駅の利用者数は山梨県で甲府に次いで多く、2003年9月の実態調査によると週日に北口を6268名、南口を1932名が利用し、週末に北口を3319名、南口を1131名が利用している。人々がJR上野原駅北口を利用する場合は、幅約12メートル、奥行き約30メートルの信じられないような広さのバスターミナルに到着する路線バスを利用できるもののバスの本数は限られている。このバスターミナルには客待ちのタクシーが数台駐車するため、路線バス3台が入ると自家用車の送迎はほとんど出来ない。

一方JR上野原駅南口の道路は軽自動車がかろうじて離合できる狭い道路で、土地改良事業の対象となっている12817坪の広々とした駐車場に車を止めて、跨線橋を通ってJR上野原駅のプラットフォームに辿り着くには、一旦86段の階段を上り、さらに31段を下り、合計117段、その高低差29メートル、ビル換算6〜7階分の階段を上下しなければならない。南口からJR上野原駅を利用する高齢者は階段の途中で一度ならず立ち止って一休みしているのが実情である(JR上野原駅の線路は、その昔、機関車の煤煙が蚕の餌となる桑の葉に付着しはならないという理由で、中心街のある高台からは80メートル低く、川沿いの道路からは15メートル高い標高185メートルの位置に設けられた)。

JR上野原駅南口を整備し、@バスターミナル、A公営駐車場、Bエスカレーター・エレベーターを設置することは人々の生活の便利性の向上と地域活性化のための喫緊の課題である。

 

3.JR上野原駅南口開発の経緯

JR上野原駅南口の土地改良事業は、1971年に土地改良法第95条第3項の認可を得て開始された。事業の対象となった区域は、富士五湖(忍野)を水源とする桂川(一級河川)の洪水対策が必要とされ、組合は桂川の下流の神奈川県が管理する相模湖の満水時水位である標高172メートルに満たない土地を対象に最大で3.7メートルの盛土を行い、1979年に完成させた。盛土完成に当たり、組合は34名の地権者で構成される当初対象面積35189平方メートル=10663坪に建物が存在していたため、その建物補償用地として神奈川県に7107平方メートル=2153坪の埋立てを求め、34名の他に12名に提供した。この結果土地改良事業の対象面積が合計42296平方メートル=12817坪に増加したために認可変更が必要になったが、全員の同意が得られずに事態が膠着した。本件は事業開始以来35年が経過しているが、この間に相続等が発生し、2006年現在の地権者は70名に増加、うち3名の同意が得られていないというのが現状である。

 

4.現状打開の方策と特区の必要性

地権者70名の全員一致が得られない原因とその内容について本件提案者は詳細を知る立場にないが、次の手順を踏んで現状を打開していくことが可能であると考える。

現状を打開する基本策は、「市が公共目的を理由に都市計画を決定し、2006年現在の70名の地権者の土地に適正な補償措置を講じて土地を収用すること」である。しかし、この考え方は

@   先祖伝来の土地を手放すことに対する反対、

A   補償内容に対する個々の利害関係の調整の困難、

B   盛土後の土地の権利関係が確定しない状況下で月極めの貸駐車場などに広く利用されるなど権利関係の複雑化と既成事実化の進行

などの要因を考慮すると意思決定に必要な全員一致が得られないままこれまでと同様の膠着状態が続く可能性が大きく、特区を前提とした新たな枠組みの下での対応が必要とされる。

 

5.特区の申請

「個々の地権者の事業開始前の地籍に応じて割り当てられるJR上野原駅南口駅前駐車区画を区分所有されるマンションの個々の居室と見なして、土地の区分所有を特区として認定し、権利関係を合理化し、事業の進捗をはかる。




6.特区を活用した地域活性化のシナリオ

具体的手順として、当該土地改良事業着手以前の地権者の地積を盛土後の駐車場区画の数で表示し、土地の資産価値を駐車場からの現金収入の形で年金化することによって、 地権者に@先祖伝来の土地が収用されることがない、A継続的現金収入が得られるというメリットを与え、これによって区画整理事業への賛同を取り付ける。これを受けて行政が@既成事実化の進行の中で複雑化した利害関係を調整し、A土地買収に要する時間と費用を抜本的に節減して、膠着状態にあるJR上野原駅南口の整備を進め、市民生活の便利性の向上と地域活性化の突破口を開く。

特区よって認定される区分所有者の土地の地表を区分所有者が自ら貸し駐車場として経営する場合、区分所有者は空中の利用権を上野原市に賃貸して公共バスターミナルと公営時間貸し駐車場の利用に供する。

この考え方は区分所有者の新たな資金負担が少ないだけでなく

@   先祖伝来の土地を手放すことがない、

A   区分所有により所有権が分数化されるため、子々孫々に合理的に分割・継承される

B   分数化された所有権はマンションと同様売買可能である

C   貸駐車場あるいは時間貸し駐車場として利用する場合に空中利用権の市への賃貸と合わせた現金収入の確保が可能である

D   この現金収入を担保に借入を行い、新たに土地を購入できる

などのメリットが認められるため、区分所有者にとって受け入れ易いと考えられる。とくに「地権者に雑草1本抜く手間もなしで駐車区画の単価に応じて所定の金額を毎月得られる無人化された時間貸し駐車場」のもたらす簡便性は区分所有者から十分評価されると考えられる。

本件の持つ公共性、すなわち、@街の交通事情の抜本的改善、A高齢者に優しい街づくり、B鉄道の利用促進を通した地球温暖化防止への貢献、C土地の収用を必要としないことから生じる費用と時間の節約(市は合併特例債75億円のうち28億円を土地の買収に充当すると伝えられている)などもこの考え方を支援する要因と評価できる。

 

7.補足説明と想定される課題.

1)コンセプト

申請者は日ごろから「石油・石炭・天然ガスは過去の太陽エネルギーを蓄積したものであるが故に『有限』であり、有限であるが故にその利用にあたって紛争を避けることが出来ない。これに対して未来の太陽エネルギーは核融合反応から生まれるが故に『無限』であり、無限であるが故に利用に当たり紛争は起こらない」と考えている。JR上野原駅「南口の駐車場としての需要は予測可能な将来において無限」である。この「駐車場からの現金収入の無限性のメリットを過去志向の争いの姿勢ではなく未来志向の相互理解と『三方一両損』の分かち合いの姿勢で、市民生活の安心・安全・繁栄を政策目的とする行政と資産の有効利用を目的とする地権者とが互いに協力して地域活性化に取り組むこと」が本件提案のキーコンセプトである。

 

2)環境にやさしいJR利用の促進

上野原市に居住し、あるいは上野原市に勤務先を持つ人々にとって自家用車を「時間貸の公営駐車場」に駐車させJRを利用することによって、経費と時間と体力を節減できることは歓迎されることである。これによってCOXとNOXを減少させることは環境条例を制定した上野原市民の時代に相応しいライフスタイルである。

 

3)この考え方

    地権者の商業設備・マンション等の経営の道を閉ざすものではない。駐車場としての土地の活用を希望するグループと商業設備・マンション等の経営を希望するグループに分けて、それぞれの区分所有部分を集約することによって対応することが可能だからである。
以上